CTとは、X線を用いて人体の輪切りの画像を撮影する検査です。当院で使用しているCTは現在主流のMDCT(Multi-Detector-CT)と呼ばれる一度に広範囲を撮影出来る日立社製64列MDCTを導入しております。一回転の撮影で同時に複数のデータを収集して撮影する事で撮影時間(息止め時間)を短くできます。Detectorとは人体を通り抜けたX線を受け取る装置でここで受けたデータを画像にします。Multi-DetectorはDetectorが複数並んでいる(当院は64並んでいる)ことを指し、複数のデータを集めることができます。近年技術や精度が向上した事でその画像を薄く高画質に収集できるため、撮影後に輪切りだけでなく任意の方向の画像を作る事が可能です。頭部・頚部・胸部・腹部や骨折部等の精密検査や手術前・後の検査を行っています。特に骨折部の検査では任意の方向の画像を作る事で診断に役立ちます。また、一度に広い範囲のデータを収集することができるので、心臓を栄養する血管(冠動脈)の検査(※※)が行えます。冠動脈バイパスの手術後などの検査では心臓の周囲の血管も同時に評価できます。

 検査時間は単純撮影で5~10分程度、造影CT検査(※)では15~30分程です。

レントゲン(左端)ではわかりにくい骨折線がCT、特に3D(右端)だとわかりやすく診断や説明に役立ちます。

 

※造影CT検査とは:造影剤という薬を使用する検査です。造影剤を用いることで、血管や病巣がより分かりやすくなり、より正確な診断が可能になります。

造影剤を使用しない画像(左)でははっきりしない腫瘍が、造影剤を使用すると(右)はっきりと見えます。

 また、腫瘍の染まり方でその腫瘍が悪いものかそうでないかを診断するのに役立つ重要な検査になります。

 (ただし、腎臓の悪い方や以前造影剤でアレルギーが出た方など、使用できない方もいます、詳しくは医師へお尋ねください)

 

■ 冠動脈(心臓)CT検査について

 冠動脈(心臓)CT検査とは、造影剤を用いて心臓の血管(冠動脈)を評価する検査です。撮影した画像を立体的(3D)に見たり、血管内を評価することで心臓を栄養する血管の状態を知る事ができます。

 

 今まで冠動脈検査はカテーテルという管を血管内に挿入する検査(心臓カテーテル検査)が最も信頼できる検査方法であり、主流でしたが、近年技術の向上によりCTでもカテーテル検査と同程度の冠動脈の評価が可能になってきました。

 

 また検査の時間もカテーテル検査は検査自体でおよそ1時間に加え、その後太い針を刺した箇所を圧迫止血する時間が必要なのに対し、CT検査ではおよそ20分になります。

 

 冠動脈CT検査では冠動脈の形態、走行や性状(石灰化や血栓など)を調べる事により虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)の早期発見することが出来ます。また冠動脈バイパス術後の方やステント留置術後の方の経過観察もカテーテル検査よりも簡単に出来ます。