■ 院長挨拶 ─東都文京病院2025年春のご挨拶─
4月を迎え、皆様は心機一転これからの1年を頑張って過ごそうという気概に溢れていることと思います。4月は桜が咲き誇り、見応えのある美しい景色を楽しむことができます。私たちが鑑賞することが多いソメイヨシノは人工的に作られた交配種なので、一本の原木から接ぎ木や挿し木で増やしたクローン種です。クローンであるため、同じ条件で一斉に咲き出し、お花見や観測に適しているそうです。実は、桜の葉にはクマリンという毒素があります。少量であれば人体に影響なく、抗菌性があり、桜餅に塩漬けの葉が巻いてあるのは、抗菌効果を知っている昔からの知恵のようです。因みに、この葉はソメイヨシノではなく、オオシマザクラの葉です。桜の香りもクマリンだそうです。桜の満開は長く続かず、雨が降ると散ってしまうイメージです。江戸時代の芝居小屋で役者に声をかける見物人役は、パッと派手に盛り上げパッと消えることから、桜に擬え偽客(さくら)と書くようです。
さて、コロナウィルス感染症、インフルエンザは落ち着いたものの、米の値段の高騰、電気水道代値上げ、などすべての物価が高騰し、大変生活が苦しくなっています。昨年の院外報では、卵だけは安くなったと書きましたが、その卵も値上がりしております。トランプ氏がアメリカ合衆国大統領になっても、ロシアのウクライナ侵攻は治まらず、物価高騰の一因となっています。明るい話題は、大リーグでの大谷翔平選手の活躍くらいでしょうか。
当院も4月を迎え、看護師、理学療法士、を始めとする多くの新入職員を迎え、若い活気にみなぎっております。早く仕事に慣れ、患者の皆さんにより良い医療を提供できることを期待しております。この1年間を通じて、二次救急医療機関として救急医療に貢献して参りました。臨床面では、消化器、循環器、乳腺、呼吸器、などの疾患に対して専門医が診療に当たっております。整形外科領域でも、骨折、膝疾患、などに対して積極的に外科的治療を行い、実績を積み上げております。また、安心して出産できるよう体制を整えておりますので、産後ケアを含めご相談頂ければと思います。温熱療法(ハイパーサーミア)は、都内でも実施できる施設が限られているためか、多くの患者さんに利用して頂いており、予約が取りにくい状況です。多くの経験を蓄積しておりますので、ご相談頂ければと思います。
現在、4階病棟をリニューアル・オープンし、2階、3階、4階の3病棟体制で入院を受け入れております。さらに、新たな取り組みとして、訪問看護を開始し、地域包括ケア病棟の開設を進めております。リハビリテーションを充実させ、患者さんの自宅退院を促進したいと考えています。今年度も全病院職員一丸となり、診療依頼を断らない、地域医療に寄り添う小回りの利く総合病院を目指して努力して参ります。今まで同様、ご意見箱等を介して、皆様方から貴重なご意見を頂き、改善に努めて参りますので、多くのご助言、ご指導、ご支援の程、宜しくお願い致します。
2025年4月
東都文京病院院長 窪田 敬一